ムハマド・ユヌス博士、IOCより「オリンピック月桂冠」を授与される

2021年7月23日(金)に開催された、第32回オリンピック競技大会(2020/東京)開会式にて、
ムハマド・ユヌス博士が国際オリンピック委員会(IOC)より、「オリンピック月桂冠」を授与されました。

 

 スポーツを通して顕著な功績を残した個人を称えるためにIOCが創設した「オリンピック月桂冠」がムハマド・ユヌス博士へ授与され、2016年に授与されたケニアのキップ・ケイノ氏に続き、ユヌス博士が2人目となりました。

 

 マイクロクレジットや“貧しい人々のための銀行”であるグラミン銀行の創設者で、2006年ノーベル平和賞受賞者として知られるユヌス博士は、2016年のリオデジャネイロ オリンピック・パラオリンピック期間中に開催された、第129回国際オリンピック委員会開会の辞で以下のように述べました。

“スポーツの力・可能性が社会変革において発揮できるように、そのゲームチェンジャーとして、ソーシャル・ビジネスを推進していく。”

 

 ソーシャル・ビジネスは、スポーツ界におけるアスリートの経済的支援、ジェンダー不平等・排除といった問題等の解決にも活用されています。IOCの”Athlete 365 Business Accelerator”は、アスリートが引退後も見据え、起業家になることを目的としたプログラムです。アスリートにビジネススキルやツール、人材ネットワークや潜在的な資金提供者を紹介し、アスリートの経済的安定を支援することを目的としたソーシャル・ビジネスプログラムの好例です。

 

 2018年、ユヌス博士はスポーツとビジネスの力を活用して、貧困ゼロ、失業ゼロ、正味CO2排出量ゼロの3つのゼロの世界を創るため、Yunus Sports Hub(ユヌス・スポーツ・ハブ)を創設しました。

 

 このYunus Sports Hubは、パリオリンピック組織委員会とも協働しています。パリ2024のビジョンである、「これまでで最もサステイナブルなオリンピック大会の開催」を実現するため、ユヌス博士のリーダーシップの下、パリオリンピックを通して環境問題や社会問題の取り組みをさらに拡大させようとしています。パリオリンピックの調達総額70億ユーロの25%をソーシャル・ビジネスや中小企業へ発注する方針が、2018年にパリオリンピック組織委員会から社会憲章という形で宣言されました。

 

 このようなユヌス博士のソーシャル・ビジネスとスポーツの関わりが、アスリートのため、さらには環境問題や社会問題の解決のために寄与していることが評価され、今回の授与となりました。

 

※IOC(国際オリンピック委員会)の発表記事はこちら(外部サイト<英語>へ移行します)

※ユヌス・スポーツ・ハブのホームページはこちら(外部サイト<英語>へ移行します)

※パリオリンピック2024公式ホームページ(日本語版)についてはこちら(外部サイトへ移行します)

 授賞写真等

【喜びの ムハマド・ユヌス博士】

 

【オリンピック月桂冠】 

 

【受賞スピーチ中のユヌス博士(ビデオメッセージ)】

【スピーチ抜粋(訳)】

「このオリンピック月桂冠を授与頂き、とても光栄にそして感激しています。 また私は皆様とご一緒できないことを大変悲しく思います。

IOCは、スポーツが持つ社会的側面を非常に真剣に捉えています。 世界のアスリートである皆様は、この世界で変革するためのリーダーシップを発揮し、3つのゼロの世界を作り出すことができます。つまり、正味CO2排出量ゼロ、貧困を終わらせるための富の集中ゼロ、そしてすべての人の起業家精神の力を湧きあがらせることによる失業ゼロです。

スポーツを通じてこの世界をより平和な世界へと変貌させるという使命を持って、IOCが成功することを願っています。 皆様のご健勝をお祈り申し上げます。」